―――― 人造の天使はクローン羊の夢を見るか? その2 ――――

歓声が上がる。
スポットライトが回る。
舞台の上で、少女が踊る。
頭の両サイドで括られた、鮮やかな紅色の髪が跳ねる。
その身に纏った衣装から伸びる、天女の羽衣の如き薄布のリボンが翻る。
彼女の背後に座するバンドが、景気よくサウンドを叩き出す。
会場のボルテージが、限りなく上昇していく ―――― 。

少女は、歌手であった。
ただしその実力ではなく、愛くるしい容姿とキャラクターで売り出した、所謂「アイドル歌手」だ。
彼女には、ちょっとした話題性があった。
基本的には明るく素直で、夢見る清純派から逸脱していないのに、
時折その外見に似合わぬ「おませ且つ大胆な発言」が飛び出すのだ。
穢れなど全く知らぬ風でいて、不思議とどこかに淫靡さを漂わせる。
そんな、子供でもなく大人でもない少女と言う年頃の持つ独特の危うさを、
余す所なく表現しきったそのあり方こそが、彼女の人気の最大の秘密であった。
それを裏付けるように、普段記者たちの前に現れる時の私服は外見相応の可愛らしい物なのに、
ライブに現れる時に着ている衣装は見ているほうがぎょっとするほどの際どい物だった。

現在身に着けているのも、金色に煌くスパンコール地の三角ビキニ。紐が外れたらお終いだ。
おまけにトップのトライアングルは普通よりも小さめ、ボトムに至っては危ういほどのローライズだ。
手足には装飾として、二の腕の半ばから手首までと、太腿の半ばから足首までを、
半分透けた藤色の薄布で筒状に覆い、色ガラスの玉で飾られた金色の太い円環で両端を閉じている。
素足には金色のサンダル、手足の指にはラメ地のマニキュアとペディキュア。
とどめに、首には手足の物と同タイプの円環を嵌め、二の腕の物共々、
後ろから同じ薄布のリボンが数枚ずつ伸びている。
彼女が纏う衣装は、たったこれだけの工程で出来ていた。
「見た目年端も行かないような少女が、そんな物を身に着けている」という、
多くの者たちが抱く背徳感すらも、彼女の人気に繋がっていた。
当然、会場から少女に注がれる視線は、性的な好奇心を多分に含んだものとなる。
しかし、少女はそれを自覚して尚、熱い興奮と快感に肢体を輝かせる。
それはまるで、アイドルというよりはベリーダンスの踊り子、或いはもっと ―――― 。


「「「お疲れ様でしたー」」」
スタッフに労われ、少女は控え室へと戻る。
肢体は汗に濡れてキラキラと輝き、表情は未だ興奮冷めやらず上気している。
そう、まるで情事の後のように……。

ガチャリ。
?:「つーかーれーたー!」
ドサッ。
控え室に入るなり、少女はソファに倒れこんだ。
??:「みーやさん、疲れたのは分かるけど衣装ぐらい着替えて下さい、それとメイク落として」
そんな彼女に掛けられる声。若い男性マネージャーだった。
みーや:「めんどくさいー。代わりにやってー。ついでに代わりにトイレ行って来てー」
男:「他はとにかくトイレは僕が行っても意味ないでしょ……」
苦笑するマネージャー。普段誰に対してもそれなりに礼儀を弁えているみーやが、
業界において唯一甘えて我侭や冗談を言える相手、それが彼であった。

男:「今回のライブも上手く行って何よりですね」
みーや:「うんうん、ほんと支えてくれてる皆のおかげだよー」
男:「……それにしても」
みーや:「?」
男:「衣装のデザイン、そろそろ方向転換したほうが良くないですか?
 露出キャラが定着したのはまだしも、メディアはもう『これだけ派手になったら、
 次はもう脱ぐしかない』とまで言ってますし、今のままだと……」
みーや:「……ストップ」
男:「みーやさん……」
みーや:「わたし、本当は運動苦手だからかっこいいダンスはできないし、
 頭だって良くないから歌詞覚えきれずにしょっちゅう間違えちゃう。
 それでもこんなわたしがアイドルしてられるのは、
 みんながこういうエッチな格好を見たいからなんでしょ。
 そのぐらいわたしでも分かるもん」
そこで一旦言葉を切り、少し空けてから小声で告げる。
みーや:「それに……そ、その……分かってるくせに……。
 み、見られてると……気持ち……良く……なっちゃうってこと……」
 ―――― そう。少女は、視線に感じてしまう体質なのだった。
先程の舞台でも、大勢の観客から嘗め回すような視線を浴びせられ、確かに快感を得ていたのだ。
普段は恥ずかしがりやなのに、その奥底には淫蕩さを秘めている。
顔は耳まで赤くなり、ソッポを向いていながら、上目遣いでこちらを窺う。
そんな、欲望と恥じらいの入り混じったいじらしさに、男は胸を熱く高鳴らせる ―――― 。
男:「みーや……さんっ……!」
みーや:「ね……?しよ?いつもみたいに……」
ぐびり。
自身の喉が浅ましく鳴る音を聞いたのを最後に、彼の理性は途切れた。


「「ん……んん……んうぅ……うふぅ……んん……」」
控え室に鍵は掛けてあるが、こんな所を誰かに見られたら、それこそ大スキャンダルになるだろう。
何せ、今が旬のアイドルをマネージャーがソファに押し倒して覆い被さり、唇を奪っているのだから。
れるっ。ぺちゃちゅぷっ。じゅるるるっ。
既に、二人とも無我夢中だった。
呼吸すらも忘れて、唇を押し付け合い、舌を絡ませ合い、唾液を啜り合う。
二人ともまだ服すら脱いでいないのに、既にもう感極まっているのか、
少女は男の背中に爪を立ててしがみ付き、両脚を男の腰に絡めて爪先を交差させる。
隙間なく唇を押し付けあっているため、口の中で舌がどう動いているのか、見ることは出来ない。
しかし、二人の頬が内側から押されて変形したり、啜り切れなくなった唾液が、
泡だった涎となって唇の端から溢れ出したりしているのを見れば、その激しさの度合いは推し量れよう。
こうして重なり合うのは、これが初めてではない。
回を重ねるごとに、想いは熱く、行為は淫らになっていく。
樹木に巻きつく蛇のように、舌を痺れて感覚が無くなるまで絡み合わせ、
抱き合ったまま体全体をも押し付け合い、擦り付け合う。
「「……ぷはぁっ!はぁ……はぁ……はあぁ……はぁっ、はぁっ……!」」
暫くして漸く唇を離したときには、二人とも呼吸に不自由していたためもあって、
顔はおろか耳や首元まで朱に染まり、息遣いは荒々しく、目の焦点は微妙に揺らいでいた。

男:「みーや……さん……」
みーや:「ん……お願い……」
了承を得て、男は少女の上半身を守るビキニの肩紐に手を掛け、片方ずつ摺り下ろしていく。
元々殆ど露出していた膨らみだが、その頂点の愛らしい桜桃は辛うじて外界の視線から遮られていたのだ。
そして今、それさえもが剥ぎ取られ、全てが曝されてしまう。
ふるるんっ。
なだらかで慎ましやかな膨らみであっても、ちゃんと柔らかく揺れる。
何度となく目にしても、その事実には感動すら覚える。
そっと、手を乗せた。乱暴に扱ったら、それこそ壊してしまいそうで。
むにん。
若々しい生命力に溢れたそれは、芯を残した弾力で、指を押し返してくる。
無理に押し込むと痛がるのは知っているので、その反発に逆らわず、表面を撫でるようにして刺激する。
敏感な彼女には、それだけでも充分だ。
みーや:「ふううぅぅぅっ!うう、ううぅぅっ」
ぞくぞくっと体を震わせ、頤を反らせる。
もう片方の手で、背中や脇腹、そして太腿を、同じようにさすってあげる。
みーや:「ふ、う、ぅ、うぁ……」
腕の中にすっぽり納まってしまう少女の体。今やその存在全てを、自らの手に収め、弄んでいる。
その事実が男を益々興奮させ、体をさする手つきが、よりねっとりとしたものになっていく。

みーや:「ね、も、もぉ……」
先を促す言葉。それを免罪符に、男は益々罪深い領域へと、自らを溺れさせてゆく。
今まで敢えて避けていた、すらりとした若草のような両脚、その付け根にある、少女の最も尊い ―――― 。
みーや:「んあぁっ……!」
そろり、と。
スパンコールの上から軽く撫で上げただけで、少女は寒気を堪えるかのようにわななく。
しかし、その体は益々熱を帯びて薄紅に染まり、寒気ではなく別のものを感じていることは明白だ。
続けて、そろり、そろりと撫で上げ続ける。時々、指の腹でトントンと軽くノックして、アクセントをつける。
みーや:「ひ、ひぁ、あひ、あ、あは、あっ……」
打てば響くかのような反応がいじらしい。
男:(あぁ……堪らないっ……!)
我慢できなくなり、小さな縦長の臍から10cm近くも下の領域しか覆っていないビキニのボトムの、
サイドの紐に手を掛ける。
ぱちん。
紐は内側で留め金に引っ掛けるゴム式のもので、片方を外せばそのまま布地ごと反対側に捲ってしまえる。
そして ―――― 。

男:「はは……これは……ステージからずっと感じてたんですね……湯気立ってますよ……」
みーや:「や……言わないでよぅ……」
そこは既に、蜂蜜でも零したかのようにドロドロに汚れ、茹でたての卵のようにほこほこと湯気を立てていた。
ちんまりとした、花弁すら食み出ていない様ないたいけな佇まいなのに、既に開ききって、荒く息づいている。
男:( ―――― ッ!!)
気が付けば、花の蜜に誘われる蜂のように、男は思わずそこに口付けていた。
みーや:「ひあぁ!?や、いきなり、そこ、だめ、だめぇぇぇっ」
突然の刺激で大きく反応してしまった少女は、慌てて男の頭を抑えて、離そうとする。
だが、情欲に突き動かされる男のほうは、ここで離れるなどできるわけが無い。
滑らかな太腿に下から手を回してがっちりとホールドし、むきになって喰らい付く。
ぷっくりとした土手を唇でふさぎ、柔らかく開いた花の中、襞の一枚一枚を舌でなぞり、溢れる蜜を啜りこむ。
僅かな塩味。甘酸っぱい匂い。とろみ。全ての要素が媚薬と化し、理性をさらに奪い取る。
みーや:「やあぁっ……だめ、だめぇっ……イっちゃうからぁっ……」
少女の柔らかなソプラノがさらに高くなり、頂点が近付いていることを告げる。
男:「良いですよ……いくらでも」
口調は優しいままだが、男の責めは飢えた獣そのものだった。
それまで敢えて避けていた、花の頂点に佇む小さな芽。
そこを、ほんの少し、舌先で突付く ―――― 。
みーや:「あ、や、ひ、ひああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
効果は劇的だった。
少女はまるで断末魔のように、目を見開き、頤を反らし、舌を突き出してガクガクと全身を痙攣させる。
このままバラバラに壊れてしまうのではないかと言う錯覚すら抱かせる、激しくも儚い絶頂であった。


男はもう限界だった。
欲しい。欲しい。少女が欲しい。
その華奢な肉体の全てに己の欲望をぶちまけ、細胞の一片に至るまで征服してしまいたい ―――― !
……我ながら落ち着きのないことだ、童貞の学生じゃあるまいしと、頭のどこかが冷静に呟く。
しかしそんな醒めた声すら、今の男には欲情を益々加速させるスパイスにしかならなかった。
男:「はーっ、はーっ、はーっ……!」
モノは既に最大まで膨らみ、服に締め付けられて痛いほどだ。
ベルトを外すのももどかしい。
漸く膝までずり下ろすと、男は少女に覆い被さった。
大の男が、小さな少女を組み伏せているその図は、醒めた目で見れば噴飯ものだろうが、
当人たちにそんなことを気にする余裕などあるわけがない。
男:「みーやさん……往きますよ……」
みーや:「うん……来て……」
いよいよ、可憐な華が、焼けた鉄柱によって蹂躙されるときがやってきた。

ちゅっ。
みーや:(あ……来る……っ!)
ぐっ。ぐぐぐぐっ。
男:(んっ……きつい……っ)
ぐちゅ。ちゅぶぶぶぶ。
みーや:(ああぁ、凄い、入ってくる、入ってくるよぅっ……)
ずずずずっ……こつん。
男:「はぁ、はぁ……分かりますか?奥まで入っていますよ……」
みーや:「い、言わない……れぇ……ひゃずかひぃよぉ……」
男:「ふふ、なにを今更」
みーや:「ら、らってぇ、らってえぇっ……」
男:「くっ、駄目だ。動きますよ」
ずっ!ずっ!ぐっ!ぐっ!
男は、最初からトップスピードでグラインドを始めた。
少女の体を気遣いたいが、快感が強すぎてコントロールが効かない。
みーや:「やあぁ!?は、激し、あひぃぃぃあああぁぁぁぁぁ!?」
男:「ご、ごめんなさっ、気持ちよすぎて……っ」
まだどこかに硬さを残す、いっそ未発達とすら言える内部。締め付けは最早痛いほどだ。
それでいてしとどに濡れ、襞の一枚一枚がひしとばかりに巻きつき、抱きしめ、絞り上げる。
男とて経験がないわけではないが、彼女を越える器の持つ主には、少なくとも逢ったことはなかった。



強く抱きしめられた少女の体は胎児のように丸くなり、男はそこにほぼ真上からの抉りこみを敢行する。
男:「はぁ、はぁ、どうですか、見えますかっ……」
みーや:「いやあぁぁ、みえひゃっへるぅ……ひゅうひゃき(注射器)、みひゃいにぃ……れひゃり、
 はいっひゃりああぁぁ……りぇんう(全部)みえひゃっへる、ろぉぉぉっ!」
殆ど叩きつけるような勢いで犯され、少女は呂律の回らない口調で叫び続ける。
男:「うぐああぁぁぁぁ、もう、もう、限界だっ……出しますよ、こんな幼い子に出してしまいますよっ」
みーや:「ら、らひて、らひてぇぇぇぇぇ!おにゃかいっぴゃい(お腹一杯)にひて、
 はりゃまへへ(孕ませて)ぇぇぇぇぇぇぇ!」
男の腰はクライマックスが近くなり、その動きは最早工事現場のアスファルトプレス機と見紛うほどだ。
そして、遂に ―――― !
男:「おおおおぉぉぉぉぉ!出る、出る、中に出てしまうぅぅ!みーやさ、みーや、みーや……
 あ、あ、あああぁがぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁおぉぉ!!」
ガクンと壊れた機械のように動きが止まり、男は背を逆海老にそらせた。
みーや:「ひぎゃああああぁぁぁっぁぁぁぁぁっっ!!れへりゅ、れへりゅううぅぅぅぅ!!
 あちゅいのがながれこんっでくりゅの、わかっひゃうううぅぅぅぅ!!
 逝ぎゅ、逝ぎゅ逝ぎゅ逝ぎゅううううう、ひ、ひぬ(死ぬ)、ひんらう(死んじゃう)うぅぅぅぅ!!
 う、うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ」
壁が防音性でなかったら、確実に建物全体に響き渡ったであろう、盛大な断末魔であった。
目は虚ろで裏返り、現界まで舌が突き出された口からは涎が止まらず。正に征服された牝だった。
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」
二人とも最後の瞬間の姿勢で固まったまま、暫く痙攣を続けた。


さて、その数日後。
みーや:「スタイリストさーん、こんなのどーかなー?」
少女は自らが纏うことになる衣装のラフスケッチを、係りの者に見せていた。
彼女は、時々こうして、自らデザインを行うことがある。
さて、肝心のその中身はと言うと。

極薄の帯状の布を紐状になるまで細く絞ってから、真ん中から首の後ろに通して首元でクロスさせ、
少し広げて両胸を覆い、もう一度絞って両の脇腹やや上を通して腰の後ろでクロス。
骨盤の張り出しに引っ掛けながら前に通し、また布を少し広げて、股間をV字状になるように覆う。
そのまま2枚を重ねて股間を通し、前と同じくV字になるようクロスさせ、
最後にもう一度絞ってから骨盤部の布に夫々結びつける、というもの。

簡単に言うと、たった一枚の薄布で形作られる、水着とすら呼べない代物だった。
当然、女性のスタイリストは思わず固まってしまっている。
男:「み、みーやさ〜んっ!」
マネージャーの悲鳴が、今日も事務所に響き渡るのであった。


  〜FIN〜


作:AVENGER 様



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