「あ、サキ先生、何を読んでるんですか?」
「半年前、飼われていった子、覚えてる?」
「b-0338ちゃん…?」
「そう、その子からの手紙よ」
サキ先生へ
おひさしぶりです、先生。
わたしがごしゅじんの家にきてもう半年がたちます。
さいごにごしゅじんがおせわになった人に手紙でもって
書かせてもらいました。
あ、さいごっていうのは明日ごしゅじんの家でパーティーがあるの。
このパーティーでわたしのおしごとはおわります。
わたしのさいごのすがたもごしゅじんが写真にとって
学校におくってくれるそうです。
たのしみにしててね。
こんなやさしいごしゅじんに飼ってもらえて
わたしはとてもしあわせです。
めぐりあわせてくれた先生にもかんしゃしてるよ。
それじゃ先生、ありがとう、さようなら。
製品番号b-0338より
P.S.今日で手がなくなっちゃったので口にペンをくわえて書きました。
字がきたなくなっちゃってごめんなさい。
「b-0338ちゃん、幸せみたいですね」
「そうね」
「わたしも早く誰かに飼ってもらって食べてもらいたいなー」
「ええ、いずれあなたにもその時がくるといいわね…」