先生の車に乗って1時間ほど経った。
「着いたわよ」
わたしは目を疑った。
そこは映画に出てくるような豪邸だった。
「こ、ここですか?」
「そうよ、早くついてらっしゃい」
言われるがまま先生の車から降りた。
「お待ちしておりました、サキ様」
そこにはいかにもというような執事さんが出迎えてくれた。
その執事さんに先生と一緒についていき、
そして大きなドアの前に着いた。
コンコンっと執事さんがノックをし「失礼します」と言ってドアを開ける。
そのドアの先には40歳くらいのおじさんが座っていた。
「サキ様と礼の方をお連れしました。」
「お久しぶりです、旦那様」とサキ先生。
「ああ、久しぶりだね、その子が礼の…」
「はい、製品番号b-0338です。ほら、あなたから挨拶しなさい」
そういうと先生の後ろに隠れていたわたしを前にだす。
「あ、あの、わ、わたし、せ、せ、せ…」
「はっはっは、緊張しなくていいよ」
わたしは緊張して顔が真っ赤になった。
こんな顔で嫌われたりしないかな…とすごく心配になった。
「そうだ、君にプレゼントがあるんだ」
そういうとそのおじさんは引き出しから二つの緑色のリボンと取り出した。
「つけてごらん」
そのリボンを受け取るとどうしたらいいのかわからなくなってサキ先生に目で助けを求めた。
そうすると先生がわたしからリボンを受け取り髪をくくってくれた。
そうして髪をおろしていたのがツインテールになった。
「よく似合ってるよ」
わたしはすごくうれしくなって満面の笑みになる。
不思議な事にいつの間にか緊張がとけていた。
もしかしたらこのおじさん、いえ「ごしゅじん」が気を使ってくれたのかも…
そう思うとすごくごしゅじんの事が大好きになった。
「さあちゃんと挨拶しなさい」
「あ、はい!わたし、製品番号b-0338といいます。
美味しく食べてもらうために精一杯がんばりますので
よろしくお願いします!ごしゅじん!」

こうしてこの日からごしゅじんの食肉としての幸せな日々が始まるのでした。





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