学校の授業が終わり僕は急いで自宅へと向かった。
今夜、s-0087と家を出る。
そしてこれから二人で生きていくのだ。
この日までに一通り家を出る準備や住む所を確保しておいた。
住む所は安くさびれたアパートだがs-0087と一緒にいられるならどこでもよかった。

家へ帰宅すると鞄を置いてすぐにs-0087の部屋へ向かう。
これはもう日課となっていた。
彼女の部屋のドアをノックする。
しかし返事がない。
ドアを開け部屋に入るとそこには彼女の姿はなくベットの上に一枚の手紙が置いてあるだけだった。
その手紙の裏には「悠人様へ」と書かれている。
僕はその手紙をポケットにしまい先に彼女をさがす。
何か嫌な予感がする…
丁度、メイドが通りかかったので彼女がどこへ行ったのか聞いてみる。
「ああ、あの娘なら今、調理室ですよ」
調理室…
僕はその言葉を聞いた瞬間、全身に悪寒が走った。
僕は調理室へ全力で走った。
なんで…
なんで調理室なんかに…
なんで…なんで…
そんな考えのまとまらない想いで調理室へ向かう。
冷や汗が止まらない。
途中メイドにぶつかるがそんなの気にしていられなかった。
そして調理室のドアが見える。
僕は勢いそのままで調理室のドアを思い切り開ける。































その光景は理解できない…
いや信じたくなかった。
それからのことはあまり覚えていない。
あの後、頭に血が上り料理長を殴ってそこらに置いてある物を壊し
騒ぎを聞きつけた者達に取り押さえられそれでも叫びながら抵抗し
そして気が付けば外側から鍵のかけられた個室に閉じ込められていた。
僕はそこでひたすら拳を壁にぶつけていた。
悔しくて…
悲しくて…
自分を許せなくて…

あれから何時間経ったのだろう…
泣き疲れ、叫び疲れ、手は血だらけで腫れ上がっていた。
僕はただ脱力感に覆われ痛みなど感じられなった。
そこでふと思い出す。
彼女の手紙…
僕はポケットからしわくちゃになった手紙を取り出した。



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