人型による食肉制度が廃止されてあれから1年余り…
食肉だった彼女達には人権が与えられそして僕の仕事はこれで終わりだと思っていた。
しかし問題が出てきた。
彼女たちが差別を受けているのだ。
暴力、性的虐待、そして裏では未だ食肉として売買されていると聞く。

差別を受けている理由…
それは食す存在だったものを人は簡単に同じ立場で受け入れられなかったということ…
そして一般の人とは違うカラフルな天然髪と目の色…
これが彼女達が元食肉だったことを物語っていた。

僕の話を聞いて食肉制度廃止を立案し強行採決した叔父さんは色々な人達を敵に回すこととなった。
そしてそれと同時に叔父さんは持病が悪化し今では病院で入院している。
そんな叔父さんにまた協力してほしいなんて言えるはずがなかった。

僕は今、一人でこの差別をなくそうと活動している。
しかし今でも人型による食肉制度廃止に反対している人達が多くいる。
もちろん協力者など現れず中には僕の活動を妨害する者も出てきた。
彼女達は僕達と一緒なのに…人としての心を持っているのに…
食肉だった存在を人として見ることは無理なのだろうか…?
僕は多勢の反対に少し弱気になっていた。

何もうまくいかなくて落ち込んでいた僕はフラフラと街を歩いていた。
そんな時、一人の少女がかすれた声を出して助けを呼んでいた。
しかし誰一人として駆けつけようとしない。
それは髪の色を一目見て少女が食肉だったとわかるからだ。
少女は崩れるように座り込んでしまった。
よく見ると少女は裸足だった。
僕は不振に思い急いでその少女に駆けつけ肩をつかんだ。
「キミ、大丈夫?」
そう言って少女の顔を覗き込んだ。



僕は夢でも見ているか…?






………






……














その少女はs-0087に瓜二つだった…




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