「助けてください!」
それが彼女の第一声だった。
その少女がs-0087に瓜二つで僕は頭が真っ白になっていた。
「みんなが…みんなが殺されてしまうんです!」
この言葉で我に返り改めて事情を聞いた。
彼女は目に涙をためながら少し取り乱してはいるもののしっかりと話してくれた。
それから事情を聞いた僕は彼女と急いで施設へと向かった。
施設に着くと彼女に案内されながら施設の奥へと進んでいく。

そして地下への階段を下りドアを開けた。
そこにはひどい光景が広がっていた。
部屋一面、血の海でその中に倒れている少女達…
そしてその奥に二人の男が立っていた。
そして今にも幼い少女にチェーンソーを振りかざそうとしている。

 

「やめろ!」
僕は勢いよくその男に飛び掛った。
男は体勢を崩しそのまま倒れ込む。
「何だ、おまえは!?」
僕は怒りを抑えられずその男を殴ろうとした。
しかしその時、首が圧迫され息ができなくなった。
後ろからもう一人の男に腕で首を絞められたのだ。
「やめて…やめてください!」
彼女が首を絞めている男に頼みこむように叫んでいる。
僕は腕を振り解こうとしたがその男の力は強くどんどん意識が遠のいていく。
そして意識が切れそうになったその時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
ここに来る途中、携帯で警察を呼んでおいたのだ。
「おい!さすがにこれを見られるとやばい、逃げるぞ!」
そういうと男達は一目散に逃げていった。

僕は男の腕から首が開放され咳き込んでいた。
「大丈夫…ですか?」
彼女が僕にやさしく声をかける。
そのかすれた声…話し方…この時、彼女が本当にs-0087なのではないかと思った。
しかしそんなはずはない。
彼女の最後のあの姿を自分自身の目で見ているのだ。

その後、彼女は部屋を見回した。
少女達の死骸が転がっている中、幼い少女は泣き叫んでいる。
彼女はうつむき頬に涙が伝った。
「ごめんね…助けてあげられなくて…ごめんね…」
何度も何度も彼女は謝り続けた…




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