「悠人さんっ!悠人さんっ!」
わたしは胸を拳銃で撃たれ倒れた悠人さんにひたすら声をかけ続けていた。
悠人さんはぐったりとしたまま動かない…
「ハヤお姉ちゃん、これで邪魔者は消えたです。
 さあわたしたちと一緒に来るです」
そう言いミオは拳銃を持っていない手でわたしの服を引っ張る。
わたしはその手を振り払い
「ふざけないでっ!」
とミオに叫んだ。
「ハ…ハヤお姉ちゃん…」
ミオはわたしの声にたじろいだ。
「なんで…どうして悠人さんがこんなことに…」
わたしの目から涙があふれる。
「ミオ、行くわよ」
「え?でもハヤお姉ちゃんが…」
「もうその娘は駄目…私たちの仲間になることはできないわ」
レインがわたしを見下ろしながら話す。
「がっかりだわ、s-0088…
 すっかり人間に心を奪われてしまったのね…
 これからもあなたはこの汚い人間の世界にまみれて生きるといいわ」
レインが見下した口調でわたしにそう言い去っていった…
しばらくミオはその場に立ち尽くしていたが
「ずっと一緒って約束したくせに…」
と最後にこう冷たく言い残し去っていった…

………

……



あれからどのくらい時間が経ったのだろう。
わたしはただ悠人さんの顔を眺めることしかできなかった。
わたしなんかの為に悠人さんは…
そう思うとまた涙があふれてくる。
「悠人さん…」
わたしは悠人さんを抱きしめる。
その時、胸の辺りから何かが落ちた。
「…?」
それは拳銃の弾のようだった。
「なんで…?」
それに動転していて気付かなかったが
撃たれたはずの悠人さんの胸から血が流れていないこともおかしかった。
わたしは不思議に思い悠人さんの胸ポケットを探ってみる。
そこには壊れた髪飾りが入っていた。

その時、悠人さんの体がピクッっと動いたのに気付いた。
「悠人…さん…?」
まだ悠人さんは…
「悠人さんっ!」
わたしは悠人さんの肩をゆする。
すると悠人さんの目がゆっくりと開いていく…
そしてわたしの顔を見て
「ハヤ…」
とわたしの名前を呼んだ。
「悠人さん…よかった…」
わたしは泣き崩れてしまった。
そのわたしの頭を悠人さんはやさしくなでてくれた。
そして悠人さんが起き上がろうとした時、
「痛っ!」
と言い倒れそうになった。
わたしは慌てて悠人さんの体を支える。
髪飾りが盾となったと言ってもあれだけの衝撃を受けたので
肋骨が折れているのかもしれない。
「そっか、僕はミオに撃たれて…
 でもなんで僕は…」
わたしは悠人さんの胸ポケットに入っていた壊れた髪飾りを渡した。
「そっか…きっとs-0087が守ってくれたんだな…」
そう悠人さんは話し少し微笑んだ。
「姉さんが?」
「ああ、これはs-0087にプレゼントしたものなんだ」
「そうなのですか…」
そう、悠人さんはまだ姉さんのことを…
そのことを思い出すと胸が苦しくなった。
悠人さんを見るとその壊れた髪飾りを眺めている。そして
「ハヤ…」
とわたしの名を呼んだ。
そして悠人さんはわたしの髪にその髪飾りを付けてくれた。
「悠人さん?」
悠人さんはわたしの目を見つめながらこう言った。

「ハヤ…一緒になろうか…」

わたしは…



わたしはただその言葉にうなづいた…



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